Zoomとは
Zoom(ズーム)とはオンラインで利用できるビデオ会議システムの一つです。社内の会議だけでなく、お客様との打ち合わせなども訪問せず、接触せずに実施することが可能になります。
Zoomが人気の背景
世界的に広がった新型コロナの影響により人との接触自粛が叫ばれており、ネットワークを介したビデオ会議システムは必然的に需要が高まりました。手軽に導入できるビデオ会議システムとして大注目なのがZoomということです。それではなぜ、数あるビデオ会議システムの中でもZoomが人気なのかというと、以下のような要因があります。
- 無料プランがあり、手軽に導入できる
- 直感的でわかりやすいインターフェイス
- 招待された会議室のURLを1クリックで簡単に会議に参加できる
- 録画も1クリックでできる
- やり取りするデータ量が少ない(通信の安定、通信費の節約)
- 幅広いプラットフォームで利用できる(Windows、MacOS、Linux、Android、iOS)
- 多機能(画面共有、リモートコントロールなど)
- バーチャル背景が使える(自分の部屋の中を見られなくて済む)
以前は本格的なビデオ会議をするためには高価な機器を用意する必要がありましたが、ネットとパソコンやスマホなどの端末があればすぐに、しかも無料で(無料プランは有料プランに比べると機能制限がありますが)ビデオ会議ができます。そして実用的な品質が確保されていることもポイントです。
パソコンで利用する場合はカメラ、マイク、スピーカーが必要になりますが、最近のノートパソコンには標準で備わっているので、すぐに会議ができますね。スピーカーの音を周りに聞かれたくなければマイクとヘッドフォンが一体になったヘッドセットなどを利用するのも良いでしょう。
Zoomの危険性
良いことづくめのような気がしますが、Zoomって安全なのでしょうか?
実はネットニュースなどでZoomにまつわる危険性が複数指摘されています。
トレンドマイクロ
Zoom Bombing(Zoom爆弾)
これは各メディアでも取り上げられているので目にされた方もいらっしゃると思います。簡単に言うと会議に乱入して迷惑行為をされることです。
Zoomは会議のURLがわかれば1クリックで参加できる手軽さが売りではありますが、これが仇となって第三者の侵入も容易になってしまうのです。侵入者はいたずらをするだけでなく盗聴行為も可能なので、会議で扱われる機密情報が漏れる恐れもあります。
ただ、このような侵入のリスクはZoomに限らず他のビデオ会議システムにも多かれ少なかれ言えることですが。
会議は暗号化されているか?
Zoomの運営は「エンド・ツー・エンドの暗号化をサポート」と謳っており、会議参加者間のやり取りはすべて暗号化されているかと思わせますが、実際には間にあるサーバー上では暗号化されていないことが明らかになりました。ということはZoomの管理者が会議の内容を見ることも可能であり、もしサーバーがハッキングされたらハッカーに丸見えということですね。
ほかにも暗号化するカギの仕様がZoomが256ビット長だと説明していましたが、実際には128ビット長だった…という信頼を裏切るような事実もあります。128ビット長だからと言って簡単に破れるものではないにしろ、嘘はいけません。
アプリの脆弱性
Windows版、Mac版などのZoomアプリにいくつかの重大な脆弱性が報告されています。例えばWindows版アプリでは、悪意を持って細工されたURLをクリックするとWindowsの認証情報が盗まれたり、任意のプログラムを実行されたりする脆弱性がありました。
既知の脆弱性については最新バージョンのアプリで対応済みとのことです。
Zoom以外の選択肢
どうしてもZoomを使うことに抵抗がある場合、別のサービスを利用する選択肢は豊富にあります。ただしどのサービスが安全なのかということは一概に言えませんし、今現在安全であっても近い将来に脆弱性が見つかる可能性もあります。
クチコミネット
例えばテレビでも有名人が在宅で出演する際によく利用されているのがおなじみのSkypeですね。SkypeはMicrosoftのサービスで1対1のテレビ通話のイメージが強いですが、グループ通話も対応しています。利用するためにはIDを取得する必要があります。またSkypeのアプリを利用してIDなしで会議ができるMeet Nowというサービスも急遽、開始されたようです。
同じMicrosoftでもOffice365を利用している企業でしたらTeamsも利用できます。Office365が有料サービスなだけにセキュリティ面ではTeamsのほうが安心だと言えるでしょう。
ほかにもGoogleのハングアウト、GoToMeetingなどが有名どころだと思いますので、比較検討してみてください。
Zoomを安全に使うために
「そんなにたくさん問題があるならZoomは使いたくないな」と思われるかもしれません。しかしどんな製品にも不具合や欠陥はつきまといます。悪意を持った第三者はいつも1歩、2歩先を行き、その対策を施していくイタチごっこを繰り返さざるを得ません。例えば日常的に使っているMicrosoftのWindowsだって毎月たくさんの修正プログラムがリリースされているのです。「そんなに頻繁に修正されるようなOSは使いたくない」というわけにはいかないので、アップデートを適用しながら使い続ける必要があります。
大切なのはセキュリティの意識を持って製品を選択し、常に最新バージョンを使用することです。そして利用する際に推奨される設定を行うことです。
最新版のアプリを使う
会議に参加する前には最新版のアプリにバージョンアップしておきましょう。当然ながら、Windows版とAndroid版など複数のプラットフォームで利用する場合は、すべてのプラットフォームのアプリをバージョンアップする必要があります。
ブラウザ版を使う
Zoomは各OS用アプリを使用せず、Webブラウザ版を利用することが可能です。会議のURLをクリックすると、通常は対応OSのアプリの起動を促されますが、アプリを起動せずにWebブラウザで会議に参加することができます。ブラウザ版は常に最新版である可能性が高いので、有効な対策と言えるでしょう。
ブラウザ版を利用するためにはZoomのアカウントが必要になったようです。ブラウザ版の利用方法は以下の記事をお読みください。
「WebブラウザでZoomを使えますか?」(Zoom ✕ NISSHO ELECTRONICS)
会議のホストがやるべき設定
これは会議を開催するホストの方が設定するものになります。
- 会議室にパスワードをかける(デフォルト設定になりました)
- 「待機室」を設けるてホストが認めた人のみが会議に参加できるようにする(デフォルト設定になりました)
- 参加者が揃ったら会議室に鍵をかけて他の人が入れないようにする
- ミーティングIDは毎回自動生成したものを使うようにする
- 画面共有は「ホストのみ」に設定し、他の参加者は画面共有できないようにする
- 必要がなければ「ファイル転送」も無効にしておくのが望ましい(資料の配布が必要であればメールで送付するなど)
こちらの記事を参考にしてください。
Zoomセミナー集客満席法
「Zoom更新に伴う「上手な新セキュリティの設定方法」2020年版Zoom使い方⑭(在宅ワークWEB会議システム)」
会議の参加者が注意すべき点
会議の参加者はホストからの招待により会議に参加します。その際に注意すべき点です。
- メールなどで会議のURLが送られてきたとき、よく確認してからクリックしましょう。Zoomの招待を装った偽URLの可能性もあります。見知らぬ人からの招待URLは絶対にクリックしてはいけません。
- 招待された会議のURLやミーティングIDなどを第三者に知らせないようにしましょう。SNSで流すのはもってのほかです。
Zoomを使う理由と活用例
現在新型コロナウイルスが猛威を奮っており、まずは人命を、その後から経済対策を、ということが叫ばれています。これは我々民間人も考えるべきことです。人との接触の機会を減らすことが人命を守ることに繋がります。ビデオ会議を導入したことにより万が一損害をこうむるような事になったとしても人の命の重さには代えられません。
社内業務はもとより、取引先との商談も可能であればオンラインに置き換えられれば接触の機会は減ります。まずはビデオ会議ツールの導入を決断し、安全に利用するためのルール作りをして運用を開始しましょう。
Zoomは選択肢の中の一つに過ぎませんが、一番利用されているサービスであることを考えるとメリットの部分が大きいのではないかと思います。それは導入のしやすさに加えて、たくさんの人によってノウハウが共有されていることが挙げられます。
利用例1.私的なコミュニケーションに
人との接触を自粛要請されている昨今、実際に顔を合わせて会合することは難しいですが、オンラインであれば大丈夫です。友人・知人・親戚などと近況を伝え合ったり、今流行りのオンライン飲み会も良いのではないでしょうか。LINEやSkypeなどはIDを持っていないと繋がれませんが、Zoomなら会議室のURLを送るだけで繋がれます。またパソコンを持っていなくてもスマホやタブレットで参加できます。
利用例2.テレワークでの軽めの打ち合わせに
先に書いたように会議室を非公開にするなどのセキュリティを施した上で、テレワークを実施しているメンバー間での軽めの打ち合わせに使ってみましょう。進捗状況の確認、作業内容の説明、アドバイスなどに利用してみてはいかがでしょうか。テレワークでの作業は孤独感がつきまとうと思いますが、上司や同僚の顔が見られるということで「繋がってる」感が実感できると思いますよ。
ただし社外秘のデータなどの機密情報のやり取りはZoomで扱わないようにしましょう。例えばZoomにはファイル転送の機能がありますが、会議参加者への重要な資料の配布はZoomのファイル転送ではなく、暗号化したファイルをメールで転送するほうが安全でしょう。
利用例3.営業活動に
相手先の了解が得られれば、取引先との打ち合わせや商談などをビデオ会議に置き換えましょう。それによって
- 人と人の濃厚接触が避けられる
- 移動のムダが省ける
というメリットが生まれます。人との接触を減らすという効果の副産物として、営業活動の移動による時間とお金が節約でき、1日2件の訪問が1日5件のバーチャル営業に増やせるかもしれません。コロナが沈静化した後も引き続き利用していければ営業活動の効率化につながるのではないでしょうか。
まとめ
Zoomは手軽に使えるビデオ会議のツールとして優れている点が多いサービスだと思います。ただ手軽ゆえにセキュリティに不安があることは否めません。しかし「危険だから使用禁止する!」と単純に決めつけるのではなく、前述のような危険性を知った上で対策を施し、自分達で運用ルールを作ってうまく利用することを考えてみてはいかがでしょうか。